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天使の生存可能領域

年末用に書いていたという何か。未完成です。

天使の生存可能領域

 ――頭上を覆う天蓋は、高く深い青空に溶けて。





プロローグ


 ――ねぇ。

 白い白い、声がする。

 ――ねぇ、例えばの話なのだけど。

 声は、少女のものだった。
 風の薙ぐ草原に響く澄んだ音色は、まるで透き通る空の様。
 
 ――例えば、もしも世界が終わっていて。私達以外に人なんて誰も居なくて――。私達はこの場所から、何処にも行く事が出来ないのだとしたら――

 くるくるくるくる。ステップを弾む。その度に白い髪がふわりと舞って、まるで、天使の翼の様。

 ――私達に居場所はないし。他に行くところなんてない。だとすれば、ここが世界の終わりでしょう?

 届かない空の彼方。見果てぬ理想の在処。追い求め続けたそこに。私は辿り着いたのだろうか。

 ――ねぇ。だとしたら、旅人さん――

 羽根が舞う。白い少女は、振り返りながら淡く柔く微笑んで。

 ――貴方は、これからどうするの? 

 その問いかけに、私は――


 

<<天使の生存可能領域>>
1.




 私は星空というものを見たことがない。
 上を見上げれば、青い空に溶けるように、黒い天蓋が浮かんでいる。それが昼の太陽や、夜の星月を隠してしまうのだ。
 私が生まれた時代、私の生まれた場所において、それは当たり前のように存在していた。
 その事実は、私以外の誰にとっても当たり前のことで、だからこの国に住む人々は、一度も星空を見たことがない。とはいえ、あの天蓋はこの国固有のものであり、海を渡れば、星空等幾らでも見ることが出来る。なんなら写真でも良い。文明が衰退しつつあるとはいえ、フィルムカメラなら未だ健在だ。
 だが、この国の人々は、初めから星空に対して殆ど関心を抱いてないようだった。
 関心も何も、見たことがないのだから当然だ。
 どれだけ望もうと、決して見ることが出来ないものなら、それは架空の――初めから存在しないものと変わらない。
 星に願いを掛けようにも――その星が見えないのだから。
 彼らの困り事といえば、洗濯物が乾き辛いとか、その程度。
 なんでも、遥か昔には天蓋など存在せず、星空は当たり前に見えていたのだとか。
 それが見えなくなったのは、あの天蓋が登場してからのこと。今の文明では計り様もないが――そして、私では理解しようもないが、かつて人が作り、使用していたものらしい。
 どちらにせよ、今では使われることのない、旧世代の遺物だった。

 この国の人々は、空を見上げる事がない。
 私だけが、雲の切れ間に除く天蓋を日々観察し続けている。
 星空がみたいわけでもないし、あの天蓋にあれこれと文句を付けるつもりもない。
 ただ、思っただけだ。
 あの上から見下ろすセカイは、どんな色をしているのだろう――
 それは、純粋な探究心。 
 子供が見知らぬ街角に想いを馳せるのと変わらない。
 届かない空の彼方。見果てぬ理想の在処。それはまるで、眼に視える夢の様。
 その行先を、暇があれば見つめていた。
 まるで、地に足が付いていないようだと、周囲の人々には笑われたが、それすらも意に介さずに。
 ――胸に宿るのは、痛烈なまでの疎外感。
 百億の人々の中で、まるで私だけが、海の底に取り残されているかの様な。

 ――曰く、あの天蓋が落ちてきて、この星が大変なことになるらしい。
 それをどうにかする為に、あの天蓋に登る事が出来る人物が、世界中から集められた。

 数多の適性検査の末。ただ一人選ばれたのは、飽きもせず空を見上げていた、ひとりの変わりモノ。
 私が空に昇ることとなったのは、ただそれだけの理由だった。

 一年という長い月日を掛け、私は必要な知識と技術を蓄えていった。
 その過程で知った事といえば、あの天蓋が、「軌道エレベータ」という、人類が空を目指していた頃の名残だということ。
 長らく放置されていたが、ここに至って劣化が激しく、このままでは崩れ落ちてくるということ。そうなればこの国どころか、世界中が大変になるということだ。
 世界の命運を担う、一大プロジェクト。そんなものを、ただ空を見上げていただけの私が背負うには、少しばかり重すぎる。
 だが、それでも私がこのプロジェクトを降りようともしなかったのは、一つの想いが、私の胸を満たしていたからである。
 ――予感があった。おそらく私は、ここからようやく始める事が出来るのだと。
 修理された昇降機に乗り込んだ。文明の衰退した時代、不屈の精神と弛まぬ努力の成果である。
 そのようなものに私如きが一人で乗り込んでいいものかと気が引けたが、やはり彼らは、空に興味はないらしい。ならば、遠慮なく使わせてもらおうことにしよう。
 天まで伸びる昇降機。その先は、あの天蓋と同じく空に溶けている。
 気分はジャックと豆の木だ。雲の上に待つ城で、いったい私は、何を手にする事になるのだろう。
 エレベータが起動する。私は生まれた地から離れ、青い空へと沈みこむ。一週間後には、私はあの天蓋の中に居る。
 これまでずっと見上げ続けてきた、視覚出来る夢の果て。届かない筈のセカイの終わりに、私は今、近づいている。
 見上げれば深い藍色。それを遮る黒い蓋。
 高度を上げても、息苦しさはない。それどころか、清々しい気分ですらある。

 ――不意に、私の居るこの場所は海の底で、あの黒い天蓋こそ、本当の地上なのではないか。そんな想いが胸に浮かんだ。
 大気の揺らめきはまるで深海から見上げる水面のようで。ゆっくりと、水面に近づく私を歓迎する。
 既に地上は遥か彼方。
 黒い天蓋もまだ遠く。
 私はその間に取り残されて、昇っているのか落ちているのかもわからない。
 それでもどうか。
 この旅の行く先に、私の祈った夢が見れますように――

 昇降機は音も経てず、黒い空へと落ちていく――



<<天使の生存可能領域>>
2.




 ――聞くところによると、あの黒い天蓋は、軌道エレベータの途中、成層圏の中ほどに作られたものらしい。
 釣鐘状の構造。その天蓋は、人工衛星から伸びるエレベータと、地上から伸びるエレベータの二つが上下から引っ張りあうことでその均衡を保っているのだとか。
 第一宇宙速度。地球の重力から解放される速度で廻る人工衛星と、その重り。
 だがそれも、永遠に続くわけはない。重力から解放されても、万物はその法則から放たれたわけではないのだから。
 二つの支えは長い年月の内に摩耗し、ゆっくりとその役目を終えようとしている。そうなってしまえば、支えを失った天蓋は、私達の星へと落ちてくるだろう。
 国一つ……どころの話ではない。アレだけの面積、質量を持った物体が地表に衝突すれば、それだけで世界は滅ぶ。
 早急に対策を練る必要があった。この問題に当たったのは、嘗ての権威など望むべくもないが、それでも未だ旧時代の文明の名残を解する人々。――名を、『冥王星』。古くは太陽系の一角として組み込まれ、その後より大きな質量を持つ天体にその座を取って変わられた、忘れさられた天体。
 彼らがどうしてその名を冠するのか。何かしらの理由や、もしくは痛烈な皮肉でも交えているのかもしれないが、私にそれを理解出来るだけの学はない。
 ともあれ、彼らの助けによって、軌道エレベータは復旧した。文明の復活を掲げるには、些か電力不足だが、それでも行って帰る分には問題ないらしい。
 予備電源はない。搭載人数は一人。与えられた期間は二ヶ月だが、エレベータが上昇、下降に一週間掛かることを考えれば、実質一ヶ月と半ばくらいか。
 初めての体験だが、不安はない。一年間の血反吐を吐くような修行の元、必要なだけの知識と技術は確かにこの身に刻まれている。
 気にかかることといえば不確定要素――要するに、あの黒い天蓋そのものだ。
 一年間。私は軌道エレベータの知識を蓄えてきたが、黒い天蓋に関する知識だけは、一つも知ることが出来なかった。
 『冥王星』に属する研究者達に聞いても、アレがなんなのか誰も知らないらしく、私の望んだ答えは得られなかった。
 曰く。空に捨てられた王の城。だとか。
 天に仇成すバベルの塔。
 はたまた、宇宙を駆ける船。
 どれも憶測の域を出ず。調べれば調べるほど、その用途は不明になっていく。
 ともかく、行けばわかるのだ。そこに何が待ちかまえて居ようとも、関係無い。
 何故なら――十数年見上げてきたあの屋根の上に、遂に昇ることが出来るのだから。


 昇降機の中はとても快適とはいえない状態だった。
 ベッドの用意された一人分のスペースの他、二ヶ月分の携帯食糧と排泄設備のみが設備してある。
 まるで牢獄か鳥籠だ。
 贅沢を言える立場ではないとはいえ、これから世界を救いに行くというのに、これはあんまりではないだろうか。
 唯一気に入っているところと言えば、昇降機の側面全てに設置された丸い窓だ。
 不意に見下ろせば、嘗て私が過ごしていた島々は、塵芥の様に小さくなっている。いずれ、視界から消える日も近いだろう。
 上を見上げると、変わらず青空に溶ける様な天蓋が、私の頭上を塞いでいる。その巨体、人の英知を越えた大きさを前にしては、距離感を掴むことが難しい。
 果たして私は本当にアレに近づいているのだろうか。
 もしかしたら、とっくに昇降機は停止していて。私は地に足を付けることも、空を見上げることも出来ず。この宙ぶらりんな状態のまま、生涯を終えるのではないか。
 そんな不安が、胸中を過る。

 もっとも、その不安は杞憂だったらしい。4日も過ぎた頃には、これまで霞ががっていた黒い天蓋の姿を、この眼でハッキリと捉える事が出来るようになっていた。
 鐡の様な天蓋が、空の果てまで何処までも続いている。近くで見ると、益々異様さに拍車がかかる。
 繋ぎ目一つない外郭は、まるで戦艦の艦艇の様。
 質量など、予想することさえままならない。私達が視ているのは所詮この物体の下側だけだ。この上に一体何が待っているのか、今の人類は誰ひとり知るものは居ない。

 七日目。私の感慨などまるで意に介さぬかの様に、昇降機はあっさりと、黒い天蓋の中に到着した。
 チーン。という間の抜けた電子音と共に扉が開く。
 あれだけ思い描いていた夢の切先に、私はごくごく普通に足を踏み入れた。その時の感想は、言葉にするのが難しい。感動していたといえば感動していたし、拍子抜けだったといえば拍子抜けだった。
 ともあれ、私は辿り着いたのだ。
 届かない空の彼方。見果てぬ理想の在処。それはまるで、眼に視える夢。
 届かないと思っていた夢は、驚くほどたやすく、触れることが出来てしまった。

 諸々の機材と食料を降ろし、ひと息吐く。私が居る場所は、黒い天蓋の中でも特に下層の一番端らしい。右横を見ると、上面に僅かに沿った大窓が、緩いウェーブを作る廊下の先まで続いている。
 取り立てて異界に来たという風情ではない。床には埃の被った黒いカーペットが敷かれており、天井には照明も付いている。一見すれば、洒落たオフィスの一角。ここが地上四十km以上という、超超高度にあるのでなければだが。
 そこで、空調が動いていることに気が付いた。なんと恐ろしいことに、このものの設備は未だに存命らしい。一体何時から、何時まで働くつもりなのだろうか。
 その職業意識には感心するが、少しだけ恐ろしくなる。とはいえ、動いているなら好都合だ。手間が一つ省けた。
 私は防寒具を脱ぎすてて脇に抱えると、天蓋の廊下を歩く。
 流石に外周を一周するわけにもいくまい。何処かに中へと折れる廊下がある筈だ。
 果たして、それはすぐに見つかった。廊下の端に空いた穴から、上層へと伸びる階段が続いている。恐らくは、この先がこの天蓋――いや、もはやこの呼び方も不適切だろう――建造物の中枢に繋がっている。
 階段を昇り始めてからしばらく。思ったほどの時間は掛からず、私は目的地に辿りついたらしい。
 目の前には鉛色の扉。手持ちの装備だけではとてもではないが開く事はままならないだろう。視線を横に移動させてみると、壁の右端にパネルがあった。
 パネルに書かれている文字は、私の知らない文字である。何処か遠い異国のものか、それとも、既に失われてしまったものなのだろうか。
 スイッチはひとつだけだ。ためらいなく押し込むと鈍い音を立てて扉が開いた。
 鈍い光を放つ鉄の扉の向こうは、暗く黒く沈んでいる。
 扉の向こうは小部屋になっているらしい。目を凝らせば、壁には丸い穴がいくつも空いている。
 対面には同じような鉄の扉がある。しかしパネルは見当たらなかった。見えないところにあるのかもしれないと、私は部屋に足を踏み入れるーーと。
 ごんっという重い音を立てて、私の背後で鉄の扉がしまった。部屋が暗闇に支配される。閉じ込められたというやつだ。私がそれにリアクションを返すような間もなく。
 プシュー。という間の抜けた音共にあまり気の抜けない煙が、壁の穴から私の全身に吹き付けられた。私は唐突なことに対処が遅れ、それを思いっきり吸い込んだ後、盛大に咳き込む。
 おおよそ二十秒ほど、文字通りの苦しい思いをした私の前であっさりと扉が開く。
 私は未だにまともに機能しない呼吸器に活を入れて立ち上がると、覚束ない足で扉を潜る。先程までとよく似たカーペット敷きの廊下に私が倒れ混むと同時、私の背後で、先程と同じように鉄の扉が閉まった。
 扉は、最早誰一人通す気はない。とでも言わんばかりの沈黙を保っている。開閉用のパネルはあるが、この調子では開けてくれるのかどうか。
 仮に開いたとしても、未だに一つとしてなすべきことをなしていないのに、再びあの手荒い洗礼を受けるのはごめん被りたい。
 願わくは、次にこの扉を潜る時は、全てを終えて帰還する時のみでありますように。 
 私は、一度深呼吸をして立ち上がると、扉ではなく、私の向かうべき道程へと目を向けた。外とは違い、窓のない直線上の廊下だが、所々に電灯があるため、明かりは確保されていた。
 黒く塗られた壁に、目に優しい青い光が映る。……正直、あまり気分のいいものでは無かったが、退路を断たれているのでは進まざるをえない。
 進んでいるのか、誘われているのか。胸の内に不安が落ちる。
 行く先は見えない。光に誘われ、一体私は何処に辿り着くのだろうか。

 どれくらい歩いただろう。
 気が付けば、廊下は上りの階段となっていて、私は先の見えない旅を続けている。
 人間というものは、単調な作業が続くほど、意識というものが希薄になっていくらしい。
 感情はない。
 胸に宿るのはただ、遠いという感傷だけだ。
 足は止まらない。上(そら)を目指す道があり、私には昇る手段がある。ならば、昇らない道理があるだろうか?
 見ているのはただ虚空。
 私は歩き続ける。

 記憶は既にない。
 意識も遠い。
 ここはどこだろう。
 私は一体何処に来たのだろう。
 果てのない暗闇。行くあても分からぬ旅路。
 或いはここが――私の辿り着いた、夢の果てなのだろうか――?
 希望も。
 絶望も。
 時間もなにもない。
 ああ、確かにここは――世界の果てなのかも知れない――
 なら――それを抜けた先には、何がある?
 世界の果て――空の彼方――その向こうには――

 ――不意に。
 黒から白へ。
 世界が転換する。
 瞳を焼く白光に、私は目を覆った。

 そして――

 ――私の前に、天国があった。

 そうとしか、例えようがない。
 広がるのは、一面の花畑。
 その先には、深い緑の草原が続き、その向こうには森林がある。
 丁寧に描かれた絵画の世界に迷い込んでしまったような、奇妙な錯覚を抱いた。
 その感覚は、私の頭が正常な思考を取り戻して行く程、強烈な違和感として私の胸を揺さぶる。
 私は、確か、空に造られた建造物を昇っていた筈だ。
 それがどうして、こんな所にいる? これではまるで――

 ――勢いよく顔をあげる。
 私の目指した遥か高み。何時だって黒い天蓋に守られていたそこには。塞ぐ事のない星空が、何処までも広がっていた。
 ――――――――
 ……その感情を。
 私は言葉に出来ないし。仮に言葉に出来たとしても、誰かに口にする事は、決してなかっただろう。
 この感情は。この感動は。私一人のものであり、これからもずっと、私の胸にだけ、抱き続けるべきものだ。
 ……しばらく見とれてしまった後、私は再び視線を落として、思考を戻す。
 ともあれ、ここにあの黒い天蓋はないらしい。事実として表記するなら、それだけのことだ。
 だが、となれば、やはりここはあの建造物の内部――ないし上層なのだろうか。
 その様な高所に野ざらしで、はたして人間は生存できるのか。私の知識は決して豊かなわけではないが、この一年、天蓋へと昇る為の訓練を受けてきた。その為、最低限の知識だけは備えている。
 天蓋は高度としては大気圏ぎりぎりに浮かんでいる筈だ。その様な場所で、気温がどうとか以前に、そもそも呼吸出来るかどうかすら怪しい。
 常識的に考えれば考えるほど、不可思議な場所だ。まさか本当に天国というわけでもあるまい。
 ともあれ、探索が必要だろう――と、私は花畑を歩き始め――

 そこで、私はもう一度、目の前の光景に心を奪われた。

 ――ふわり。と、白い羽根が舞う。
 そこに居たのは、天使だった。
 ここが天国だというなら、天使で間違いないだろう。
 花畑の中に居たのは、一人の少女。
 白い肌。
 白い髪。
 白い衣装。
 美し過ぎる潔白さ。
 汚れを知らず、それ故に儚い、それはまるで夢の名残。
 そんな、見たこともない美少女が、私の少し前方で、花畑の中を舞っている。
 白髪は彼女が踊る度、翼の様に背中を撥ねる。
 美しく、可憐に。愛らしく、儚げに。
 少女の容姿は、どれほどの美麗賛句を並べ立てたとしても足りないような美貌で――同時にそれは、この世の何処にもありえない――少なくとも、私の住む地上にはありえないであろう美しさを纏っていた。
 この世にはありえない。
 この世のものではない。
 ならば、ここはやはり、天国なのだろうか……?

 呆気に取られる私に、白い少女は気付いたらしい。ふと、口元を緩めて笑みを浮かべる。
 ――その微笑みを見ただけで、背筋に冷たいものがはしる。それほどまでに、彼女の外見は完成していた。
 蛇に睨まれた蛙の如く。身動き一つ取れない私に、少女は再び白髪を舞わせながら向き直ると、翡翠と紅玉の瞳をこちらに向けて、薄い唇を開く。

 ――こんにちは。初めまして。旅人さん。

 透明な空の様な――声だった。
 白い天使は、唄う様に――私を誘う言葉を紡ぐ。





「――ようこそ。世界の終わりへ」


END



◆文章
森野いづみ

◆背景素材
きまぐれアフター 彩 雅介さま
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プロフィール

森野いづみ

Author:森野いづみ
ノベルゲームを製作してたりするフリーライター。業務実績は下記にてのせています。
http://girlwhodreams.blog.fc2.com/blog-entry-176.html
お仕事等のお問い合わせ、ご連絡はこちらからどうぞ。
 morinoidumi@gmail.com

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